加護ちゃんは優しい女の子だ。
頭にきた時だって声を荒げたりしないで、
それはしちゃだめだよって相手をたしなめるぐらいだ。

いつからああなったんだろう。最初は本当にいたずら好きな子供で、
敬語を扱う事さえままらない、怖いものなしの少女だった。
明るい無邪気な笑顔の、なんの警戒心もなく大きく開けた口から
一本の八重歯が覗いていたのに(右には歯と歯の間に隙間があった)。
いつからか加護ちゃんは髪を黒く染め直した。
また、いつからか歯を見せずに笑うようになった。
そして、決して怒る事のない、優しい優しい女の子になった。

今の加護ちゃんはデビュー当時とはだいぶ顔が変わっていて、
それが一部では整形したとも言われているんだけど、
私は彼女の内面の変化が外にもにじみだしてるんじゃないかと思う。
あるいは自意識にめざめた彼女自身が、容貌の変化を望んだのか。
大人になりたくない、普通に可愛がられる子供でいたい。
きっと加護ちゃんにはそんな思いがあったんだと思う。
そうして時間に逆らうように、加護ちゃんの容姿は幼くなっていった。

勝気そうに見えたまゆげは直線的になって、今は困った顔が似合う。
いたずらっぽくこちらを見ていた小さな黒めがちな瞳は
優しそうな二重になった。(やっぱりアイプチ使ってるんだろうなぁ)
頬にはいっていた鮮やかな色のチークは、今は全然使われていない。

うーん、自分が何を言いいのかわからなくなってきた。

ふと思うのだ。加護ちゃんはどの時点で大人になったのか。
明確な線引きなんて出来るわけないんだけど、それでも考えてしまう。

テレビ局の時間の都合で、用意していたネタの数を急遽減らした時。
(生放送中だったから、細かい段取りはしていなかったはずだ)
うろ覚えなんだけど、スタッフからの指示を加護ちゃんはすぐ理解して、
「あと一つ(ネタを)やります」というような事を言っていた。
悲しいかな辻ちゃんは考えて答えを出すスピードが人より遅いので、
「え?でももう2個(ネタが)あるよ?」と返してしまった。
それを聞いた加護ちゃんは、すぐに微笑みながら
「うん、でも1個で良いんだよ」と言い、その場を取り繕った。
私はその時の二人が心底愛しいと思った。
わかる加護ちゃんも、わからない辻ちゃんも可愛らしくて、
特にそんな辻ちゃんに苛立つ事もなく対応する加護ちゃんの優しさに、
恥ずかしいんだけど、少し感動してしまった。
加護ちゃんは偉い。加護ちゃんは優しい女の子なんだ。

加護ちゃんの優しさ、慈しみ、微笑み。
それらには、歳の離れた兄弟が少なからず関係していると思う。
幼い弟の手を引いて歩く加護ちゃんなんて、まるで聖母マリアじゃないか。

つづく。

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